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新日本建設に関する詔書

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 皆さんは、新日本建設に関する詔書(年頭、国運振興の詔書)をご存知でしょうか。
 1946年(昭和21年)1月1日に官報により発布された昭和天皇の詔書です。

1201nihonkensetu.jpg

【新日本建設に関する詔書のデジタル画像。国立公文書館デジタルアーカイブで見ることができます】
 「人間宣言」と言われるとピンと来る方もいらっしゃるでしょう。
 ただ、「人間宣言」というのは当時のマスコミや出版社が付けたもので、「人間」「宣言」という文言は当詔書内には一切出てきません。

 新日本建設に関する詔書についてはこれまで色んなサイトさんが紹介されていますが、原文、英文、読み下し文、現代語訳、これらが1ページにまとめられたサイトさんはないようなので、こちらでまとめました。

 原文は難しいですが、読み下し文でだいたいの意味は理解できると思います。
 あと、最後にこの詔書に対する昭和天皇ご自身の“解説”も付けましたので、こちらも是非ご覧下さい。

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■原文

新日本建設に関する詔書(昭和21年1月1日の詔書)

新日本建設に関する詔書

茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初國是トシテ五箇條ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。曰ク、
 一、廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ   
 一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フヘシ
 一、官武一途庶民ニ至ル迄各其ノ志ヲ遂ケ人心ヲ
   シテ倦マサラシメンコトヲ要ス
 一、舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ    
一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ

叡旨公明正大、又何ヲカ加ヘン。朕ハ茲ニ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス。須ラク此ノ御趣旨ニ則リ、舊來ノ陋習ヲ去リ、民意ヲ暢達シ、官民擧ゲテ平和主義ニ徹シ、教養豐カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ圖リ、新日本ヲ建設スベシ。

大小都市ノ蒙リタル戰禍、罹災者ノ艱苦、産業ノ停頓、食糧ノ不足、失業者増加ノ趨勢等ハ眞ニ心ヲ痛マシムルモノアリ。然リト雖モ、我國民ガ現在ノ試煉ニ直面シ、且徹頭徹尾文明ヲ平和ニ求ムルノ決意固ク、克ク其ノ結束ヲ全ウセバ、獨リ我國ノミナラズ全人類ノ爲ニ、輝カシキ前途ノ展開セラルルコトヲ疑ハズ。

夫レ家ヲ愛スル心ト國ヲ愛スル心トハ我國ニ於テ特ニ熱烈ナルヲ見ル。今ヤ實ニ此ノ心ヲ擴充シ、人類愛ノ完成ニ向ヒ、獻身的努力ヲ效スベキノ秋ナリ。

惟フニ長キニ亘レル戰爭ノ敗北ニ終リタル結果、我國民ハ動モスレバ焦躁ニ流レ、失意ノ淵ニ沈淪セントスルノ傾キアリ。詭激ノ風漸ク長ジテ道義ノ念頗ル衰ヘ、爲ニ思想混亂ノ兆アルハ洵ニ深憂ニ堪ヘズ。

然レドモ朕ハ爾等國民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚ヲ分タント欲ス。朕ト爾等國民トノ間ノ紐帶ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(アキツミカミ)トシ且日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニモ非ズ。

朕ノ政府ハ國民ノ試煉ト苦難トヲ緩和センガ爲、アラユル施策ト經營トニ萬全ノ方途ヲ講ズベシ。同時ニ朕ハ我國民ガ時艱ニ蹶起シ、當面ノ困苦克服ノ爲ニ、又産業及文運振興ノ爲ニ勇往センコトヲ希念ス。我國民ガ其ノ公民生活ニ於テ團結シ、相倚リ相扶ケ、寛容相許スノ氣風ヲ作興スルニ於テハ能ク我至高ノ傳統ニ恥ヂザル眞價ヲ發揮スルニ至ラン。斯ノ如キハ實ニ我國民ガ人類ノ福祉ト向上トノ爲、絶大ナル貢獻ヲ爲ス所以ナルヲ疑ハザルナリ。

一年ノ計ハ年頭ニ在リ、朕ハ朕ノ信頼スル國民ガ朕ト其ノ心ヲ一ニシテ自ラ奮ヒ自ラ勵マシ、以テ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ。

御名御璽

  昭和二十一年一月一日


内閣總理大臣兼第一復員大臣第二復員大臣
      男爵 幣原喜重郎
司法大臣     岩田 宙造
農林大臣     松村 謙三
文部大臣     前田 多門
外務大臣     吉田  茂 
内務大臣     堀切善次郎
國務大臣     松本 烝治
厚生大臣     芦田  均
國務大臣     次田大三郎
大藏大臣  子爵 澁澤 敬三 
運輸大臣     田中 武雄
商工大臣     小笠原三九郎
國務大臣     小林 一三


茲ニ……ここに。  國是……こくぜ。  五箇條ノ御誓文……ごかじょうのごせいもん。
上下心ヲ一ニシテ……しょうかこころをいつにして。 經綸……けいりん。 叡旨……えいし。
朕ハ……ちんは。  誓ヲ新ニシテ……ちかいをあらたにして。  須ラク……すべからく。
暢達シ……ちょうたつし。  眞ニ……まことに。  克ク……よく。  夫レ……それ。
效スベキノ秋……いたすべきのとき。  惟フニ……おもうに。  亘レル……わたれる。
動モスレバ……ややもすれば。  詭激ノ風……きげきのふう。  頗ル……すこぶる。
兆……きざし。  洵ニ……まことに。  休戚ヲ分タント……きゅうせきをわかたんと。
紐帶……ちゅうたい。  延テ……ひいて。  時艱ニ蹶起シ……じかんにけっきし。
相倚リ相扶ケ……あいよりあいたすけ。  我至高ノ傳統……わがしこうのでんとう。
斯ノ如キハ……かくのごときは。 所以……ゆえん。 心ヲ一ニシテ……こころをいつにして。
自ラ奮ヒ……みずからふるい。  庶幾フ……こいねがう。


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■英文

詔書(しょうしょ)
Imperial Rescript

茲(ここ)ニ新年ヲ迎フ。顧(かえり)ミレバ明治天皇明治ノ初(はじめ)国是(こくぜ)トシテ五箇条ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。曰(いわく)ク、
In greeting the New Year, We recall to mind that Emperor Meiji proclaimed, as the basis of our national policy, the Five Clauses of the Charter Oath at the beginning of the Meiji Era. The Charter Oath signified:

一、広ク会議ヲ興シ万機公論ニ決スヘシ
1. Deliberative assemblies shall be established and all measures of government decided in accordance with public opinion.

一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ経綸ヲ行フヘシ
2. All classes, high and low, shall unite in vigorously carrying out the affairs of State.

一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス
3. All common people, no less than the civil and military officials, shall be allowed to fulfill their just desires, so that there may not be any discontent among them.

一、旧来ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
4. All the absurd usages of old shall be broken through, and equity and justice to be found in the workings of nature shall serve as the basis of action.

一、智識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
5. Wisdom and knowledge shall be sought throughout the world for the purpose of promoting the welfare of the Empire.

叡旨(えいし)公明正大、又何ヲカ加ヘン。
  ◆叡旨: 天子のお考え
The proclamation is evident in significance and high in its ideals.

朕(ちん)ハ茲(ここ)ニ誓ヲ新(あらた)ニシテ国運ヲ開カント欲ス。
We wish to make this oath anew and restore the country to stand on its own feet again.

須(すべか)ラク此ノ御趣旨ニ則(のっとり)リ、旧来ノ陋習ヲ去リ、民意ヲ暢達(ちょうたつ)シ、官民挙ゲテ平和主義ニ徹シ、教養豊カニ文化ヲ築キ、以テ民生ノ向上ヲ図リ、新日本ヲ建設スベシ。
  ◆須らく: 当然なすべきこととして
  ◆陋習: わるい習慣
  ◆暢達する: のびのびと育てる

We have to reaffirm the principles embodied in the Charter, and proceed unflinchingly towards elimination of misguided practices of the past, and keeping in close touch with the desires of the people, we will construct a new Japan through thoroughly being pacific, the officials and the people alike, attaining rich culture, and advancing the standard of living of the people.

大小都市ノ蒙(こうむ)リタル戦禍、罹災者(りさいしゃ)ノ艱苦(かんく)、産業ノ停頓(ていとん)、食糧ノ不足、失業者増加ノ趨勢(すうせい)等ハ、真ニ心ヲ痛マシムルモノアリ。
  ◆艱苦: なやみ苦しむこと
The devastation of war inflicted upon our cities, the miseries of the destitute, the stagnation of trade, shortage of food, and the great and growing number of the unemployed are indeed heart-rending.

然(しか)リト雖(いえど)モ、我国民ガ現在ノ試練ニ直面シ、且(かつ)徹頭徹尾文明ヲ平和ニ求ムルノ決意固ク、克(よ)ク其ノ結束ヲ全(まっと)ウセバ、独リ我国ノミナラズ全人類ノ為ニ、輝カシキ前途ノ展開セラルルコトヲ疑ハズ。
But if the nation is firmly united in its resolve to face the present ordeal and to seek civilization consistently in peace, a bright future will undoubtedly be ours, not only for our country, but for the whole humanity.

夫(そ)レ家ヲ愛スル心ト国ヲ愛スル心トハ我国ニ於テ特ニ熱烈ナルヲ見ル。
Love of the family and love of the country are especially strong in this country.

今ヤ実ニ此ノ心ヲ拡充シ、人類愛ノ完成ニ向ヒ、献身的努力ヲ效(いた)スベキノ秋(とき)ナリ。
With more of this devotion should we now work towards love of mankind.

惟(おも)フニ長キニ亘(わた)レル戦争ノ敗北ニ終リタル結果、我国民ハ動(やや)モスレバ焦躁(しょうそう)ニ流レ、失意ノ淵ニ沈淪(ちんりん)セントスルノ傾キアリ。
We feel deeply concerned to note that consequent upon the protracted war ending in our defeat, our people are liable to grow restless and to fall into the Slough of Despond.

詭激(きげき)ノ風漸(ようや)ク長ジテ道義ノ念頗(すこぶ)ル衰ヘ、為(ため)ニ思想混乱ノ兆(きざし)アルハ洵(まこと)ニ深憂ニ堪ヘズ。
  ◆詭激: 言行が度をこえて激しいこと
  ◆漸く: しだいに

Radical tendencies in excess are gradually spreading and the sense of morality tends to lose its hold on the people, with the result that there are signs of confusion of thoughts.

然レドモ朕ハ爾等(なんじら)国民ト共ニ在リ、常ニ利害ヲ同ジウシ休戚(きゅうせき)ヲ分(わか)タント欲ス。
  ◆休戚: 喜びと悲しみ
We stand by the people and We wish always to share with them in their moments of joys and sorrows.

朕ト爾等国民トノ間ノ紐帯(ちゅうたい)ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非(あら)ズ。
  ◆紐帯: 二つのものを結びつける大切なもの。きずな
The ties between Us and Our people have always stood upon mutual trust and affection. They do not depend upon mere legends and myths.

天皇ヲ以テ現御神(あきつみかみ)トシ、且(かつ)日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延(ひい)テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ。
  ◆現御神: この世に生きている神
They are not predicated on the false conception that the Emperor is divine, and that the Japanese people are superior to other races and fated to rule the world.

朕ノ政府ハ国民ノ試練ト苦難トヲ緩和センガ為、アラユル施策ト経営トニ万全ノ方途(ほうと)ヲ講ズベシ。
  ◆方途: 進むべき道。方法
Our Government should make every effort to alleviate their trials and tribulations.

同時ニ朕ハ我国民ガ時艱(じかん)ニ蹶起(けっき)シ、当面ノ困苦克服ノ為ニ、又産業及(および)文運振興ノ為ニ勇往(ゆうおう)センコトヲ希念ス。
  ◆時艱: その時代の当面する難問題
  ◆蹶起: 決意して立ち上がり、行動を起こす
  ◆文運: 学問や芸術が盛んな様子
  ◆勇往: 勇んで突き進む、ためらわずに前進する

At the same time, We trust that the people will rise to the occasion, and will strive courageously for the solution of their outstanding difficulties, and for the development of industry and culture.

我国民ガ其ノ公民生活ニ於テ団結シ、相倚(よ)リ相扶(たす)ケ、寛容相許スノ気風ヲ作興(さっこう)スルニ於テハ、能(よ)ク我至高ノ伝統ニ恥ヂザル真価ヲ発揮スルニ至ラン。
  ◆作興: 盛んにすること
Acting upon a consciousness of solidarity and of mutual aid and broad tolerance in their civic life, they will prove themselves worthy of their best tradition.

斯(かく)ノ如キハ、実ニ我国民ガ、人類ノ福祉ト向上トノ為、絶大ナル貢献ヲ為(な)ス所以(ゆえん)ナルヲ疑ハザルナリ。
  ◆所以: 理由、わけ
By their supreme endeavours in that direction, they will be able to render their substantial contribution to the welfare and advancement of mankind.

一年ノ計ハ年頭ニ在リ。
The resolution for the year should be made at the beginning of the year.

朕ハ朕ノ信頼スル国民ガ朕ト其ノ心ヲ一(いつ)ニシテ、自ラ奮ヒ、自ラ励マシ、以(もっ)テ此ノ大業(たいぎょう)ヲ成就センコトヲ庶幾(こいねご)フ。
  ◆大業: 大きな事業
We expect Our people to join Us in all exertions looking to accomplishment of this great undertaking with an indomitable spirit.

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■読み下し文

『年頭、国運振興の詔書』

ここに新年を迎う。かえりみれば明治天皇、明治のはじめ、国是として五箇条の御誓文を下し給えり。いわく、

一、広く会議を興し、万機公論に決すべし。
一、上下心を一にして、盛んに経綸を行うべし。
一、官武一途庶民に至るまで、おのおのその志を遂げ、人心をして倦(う)まざらしめんことを要す。
一、旧来の陋習(ろうしゅう)を破り、天地の公道に基くべし。
一、智識を世界に求め、おおいに皇基を振起すべし。

叡旨(えいし)公明正大、また何をか加えん。朕は個々に誓いを新たにして、国運を開かんと欲す。すべからくこの御趣旨にのっとり、旧来の陋習を去り、民意を暢達(ちょうたつ)し、官民挙げて平和主義に徹し、教養豊かに文化を築き、もって民生の向上をはかり、新日本を建設すべし。

大小都市のこうむりたる戦禍、罹災者の艱苦、産業の停頓、食糧の不足、失業者増加の趨勢等は、まことに心を痛ましむるものあり。しかりといえども、わが国民が現在の試練に直面し、かつ徹頭徹尾文明を平和に求むるの決意固く、よくその結束をまっとうせば、ひとりわが国のみならず、全人類のために輝かしき前途の展開せらるることを疑わず。

それ家を愛する心と国を愛する心とは、わが国において特に熱烈なるを見る。今や実に、この心を拡充し、人類愛の完成に向かい、献身的努力をいたすべきの時なり。

おもうに、長きにわたれる戦争の敗北に終わりたる結果、わが国民はややもすれば焦燥に流れ、失意の淵に沈淪(ちんりん)せんとするの傾きあり。詭激(きげき)の風ようやく長じて、道義の念すこぶる衰え、ために思想混乱あるは、まことに深憂に堪えず。

しかれども、朕は汝ら国民とともにあり。常に利害を同じうし、休戚を分かたんと欲す。朕と汝ら国民との紐帯は、終始相互の信頼と敬愛とによりて結ばれ、単なる神話と伝説によりて生ぜるものにあらず。天皇をもって現御神(あきつかみ)とし、かつ日本国民をもって他の民族に優越せる民族にして、ひいて世界を支配すべき運命を有すとの架空なる観念に基づくものにもあらず。

朕の政府は、国民の試練と苦難とを緩和せんがため、あらゆる施策と経営とに万全の方途を講ずべし。同時に朕は、わが国民が時艱に決起し、当面の困苦克服のために、また産業および文運振興のために、勇往せんことを祈念す。

わが国民がその公民生活において団結し、あいより助け、寛容あい許すの気風を作興するにおいては、よくわが至高の伝統に恥じざる真価を発揮するに至らん。かくのごときは、実にわが国民が人類の福祉と向上とのため、絶大なる貢献をなすゆえんなるを疑わざるなり。

一年の計は年頭にあり。朕は、朕の信頼する国民が、朕とその心を一にして、みずから奮い、みずから励まし、もってこの大業を成就せんことをこいねがう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

■現代語訳

ここに新年を迎える。ふりかえれば、明治天皇は明治のはじめにあたって、国の基本方針として「五箇条の御誓文」を、おさずけくださった。それは、

一、広く会議を開き、あらゆることについて公の議論の場で決定すべし。
一、上の者も下の者も互いに一致協力して、国家秩序を盛んにすべし。
一、役人・軍人から庶民にいたるまで、だれもがその志をまっとうし、途中であきらめたり怠けたりしないよう計るべし。
一、過去のあやまった風習や弊害をやめ、なにごとも天地の道理にのっとるべし。
一、新しい智恵や知識を世界じゅうに求め、大いに天皇国家をふるいたたせるべし。

明治天皇の叡智にあふれた御旨は、この五箇条の御誓文にすべて集約されており、この上、付け加えるべきものはなにもない。余はここに、改めて五箇条の御誓文をもって、国の運気を開きたい。すべてはこの御誓文の御趣旨にのっとって、旧来の弊害を去り、国民の意欲を高め、官民協力して平和主義に徹し、教養も豊かな文化を築き、国民生活の向上をはかり新しい日本を建設すべし。

わが国の大小を問わない都市がこうむった戦争の災禍、罹災民の苦難、産業の停止と頓挫、食糧の不足、失業者の増加などのありようは、まことに余の心を痛ませるものがある。しかし、その一方、わが国民が現在の試練に直面しながらも、徹頭徹尾、平和な文明を求める決意を固くし、国民どうしの結束をまっとうすれば、わが国のみならず、全人類のためにも、輝かしい前途が開けることを疑わない。

わが国民においては、家庭と国家を愛する心が、ことに熱烈である。今まさに、その精神を拡大充実させ、人類愛の完成に向けて、献身的な努力をすべき時である。

余が思うに、これまで長きにわたった戦争に敗れた結果、わが国民はややもすれば絶望感にかられ、失意の底に沈んでしまう傾向がある。言動がしばらく過激に流れるようになり、道義に従う心もいちぢるしく衰え、そのために思想の混乱の兆候が見られるのには、まことに深い憂慮の念を覚えずにはいられない。

しかし、余は汝ら国民とともにある。常に利害を同じくし、喜びも悲しみもわかちあいたい。余と汝ら国民との間の絆は、いつも相互の信頼と敬愛とによって結ばれ、単なる神話と伝説を根拠に生まれたものではない。天皇をもって現人神とし、また日本国民が他民族より優れており、そのゆえに世界を支配すべき使命をもつといった架空の観念によって生まれた絆でもない。

余の政府は、国民の試練と苦難とをやわらげるため、あらゆる政策と国家経営に万全の手段を講ずるべきである。同時に余は、現在の苦難にあたってわが国民が奮起し、当面の困窮を克服するため、また産業と文化の振興のため、勇気をもって進むことを心より願う。

わが国民が、その実生活において団結し、互いによりそい助けあい、寛容をもって相手を許すという気風を高めるならば、わが国の至高の伝統に恥じることのない、日本民族の真価を発揮するに至るだろう。このように考えるのは、実にわが国民が、人類の福祉と向上のため、絶大なる貢献を爲すであろうことを疑わないからである。

一年の計は年頭にある。余は、余の信頼する国民が、余と心をひとつにして、みずから奮い、みずから励まし、もって以上の大業を成就することを、心より願うものである。

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1201yokohama.jpg

【1946年(昭和21年)2月19日、横浜の戦災者住宅で戦災者を激励される昭和天皇(毎日新聞)】

 以下はこの詔書をめぐる昭和天皇の記者会見のやりとりです。

記者:
 ただそのご詔勅の一番冒頭に明治天皇の「五箇条の御誓文」というのがございますけれども、これはやはり何か、陛下のご希望もあるやに聞いておりますが。

天皇:
 そのことについてはですね、それが実はあの時の詔勅の一番の目的なんです。神格とかそういうことは二の問題であった。

 それを述べるということは、あの当時においては、どうしても米国その他諸外国の勢力が強いので、それに日本の国民が圧倒されるという心配が強かったから。

 民主主義を採用したのは、明治大帝の思召しである。しかも神に誓われた。そうして五箇条の御誓文を発して、それがもととなって明治憲法ができたんで、民主主義というものは決して輸入のものではないということを示す必要が大いにあったと思います。

 それで特に初めの案では、五箇条の御誓文は日本人としては誰でも知っていると思っていることですから、あんなに詳しく書く必要はないと思っていたのですが。

 幣原(引用者注:幣原喜重郎。当時の首相)がこれをマッカーサー司令官に示したら、こういう立派なことをなさったのは、感心すべきものであると非常に賞讃されて、そういうことなら全文を発表してほしいというマッカーサー司令官の強い希望があったので全文を掲げて、国民及び外国に示すことにしたのであります。

記者:
 そうしますと陛下、やはりご自身でご希望があったわけでございますか。

天皇:
 私もそれを目的として、あの宣言を考えたのです。

記者:
 陛下ご自身のお気持ちとしては、何も日本が戦争が終ったあとで、米国から民主主義だということで輸入される、そういうことではないと、もともと明治大帝の頃からそういう民主主義の大本、大綱があったんであるという……。

天皇:
 そして、日本の誇りを日本の国民が忘れると非常に具合が悪いと思いましたから。日本の国民が日本の誇りを忘れないように、ああいう立派な明治大帝のお考えがあったということを示すために、あれを発表することを私は希望したのです。

(『陛下、お尋ね申し上げます』、高橋紘+鈴木邦彦、徳間書店)

 私(1964年生まれ)は学校で、「第二次世界大戦が終わるまで天皇は『神様』とされていました。戦後、天皇が『人間宣言』をして、我々と同じ人間であることを表明しました」などと教わった覚えがあります。
 こういう人は多いんじゃないでしょうか。

 ところが、最初に書いたように、一般には「人間宣言」と呼ばれてはいるものの、「人間」「宣言」という文言は当詔書内には一切ないんですね。

 本来は、昭和天皇ご自身も仰っているように、神格等否定などは「二の問題」なのですね。

 「民主主義を採用したのは、明治大帝の思召しであり、決して輸入のものではない。日本の誇りを忘れず、米国その他諸外国に圧倒されず、新しい国づくりに頑張ろう」という、国民への呼び掛け、励ましが目的だったのです。

 そして、この詔書が発せられて約1か月半後の昭和21年2月19日、3万3000キロに及ぶ昭和天皇の全国御巡幸が始まったのでした。

 それにしても、昭和天皇というお方は本当にすごいというか、国内外の情勢を見る目に長けていたお方なんだなぁと。

 こんなことを申し上げるのは不敬だし語弊もあるかもしれませんが、少なくとも今のそのへんの政治家よりもよほど政治家らしいというか、素晴らしい政治感覚をお持ちの方だったんだなぁと、私は改めて感じ入りました。


※出典及び参考文献
小さな資料室さま(原文及び語句の読み)
神国の森さま(読み下し文、現代語訳)
芋太郎の広場さま(英文、昭和天皇の記者会見)
Wikipedia>人間宣言


※拙ブログ関連エントリー(昭和天皇)
09/2/10付:戦後の昭和天皇を振り返る
11/8/9付:昭和天皇御巡幸の御製と歴代天皇の博愛精神
11/8/14付:昭和天皇の涙…二つの位牌を手にした少女


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