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文化財修理予算と中国産漆はどうなった?…英国人社長の闘い【続報】

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 皆様、約2年前のこの記事を覚えていらっしゃいますか?

2015/2/9付:中国産漆に駆逐される国産漆!国宝守る英国人社長の闘いと日本人への提言

 「日本の文化財保存修理にかける予算は少ない。そのため保存状態が非常に悪い。これでいいんですか?」という、英国人のデービッド・アトキンソンさんの問題提起を紹介した記事です。

 先日ツイッターでも短くお伝えしましたが、この2年間で大きな進展がありました。

 結論から言うと、文化財修理予算が来年度(平成29年度=2017年度)から増額になりました!

 月刊「Hanada」2017年3月号【D・アトキンソン自伝 ふたつの島国で(第9回)】にて、ご本人が報告されています。

 今日はそれを整理してまとめておきます。
 
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 まず、デービッド・アトキンソンさんのプロフィールを簡単にご紹介。

 1990年頃にイギリスから日本に移り住み、1992年にゴールドマン・サックスに入社。
 日本の不良債権の実態を暴くなどの実績を残されました。
 現在、江戸時代から文化財の修復を行ってきた「小西美術工藝社」の社長さん。
 「小西美術工藝社」は、国宝や重要文化財に指定された建造物の多くを手がける業界最大手です。

 これまでアトキンソンさんは、日本の文化財保護の観点から、文化財行政に対してさまざまな問題提起をされてきました。

 日本の文化財には、かなり傷んでいるのに放置されているものがあります。
 傷みが進行する前に補修をすべきなのですが、できない状態。
 なぜなら、日本政府が文化財保存修理にかける予算をあまり出さないからです。

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 上記画像は、日本とイギリスの文化財保存修理にかける予算の比較表です。
 日本の2014年度の予算は81億円5000万円。
 イギリスの6分の1以下です。

 日本人はあまり気にしませんが、外国人観光客は、傷んだところを見ると幻滅するので、観光には大きなマイナスだと、アトキンソンさんは指摘されています。

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 常にきれいな状態にしておくためにいくら必要か?
 アトキンソンさんの試算では、年間およそ200億円だそうです。

 国民1人あたりに換算すると、約200円。
 1人あたり200円というのは、政党交付金と同程度の額です。

 ここまでの話、詳しいことは冒頭にもリンクを貼ったこの記事に書いてあります。
2015/2/9付:中国産漆に駆逐される国産漆!国宝守る英国人社長の闘いと日本人への提言


 その少なかった日本の文化財修理予算が、2017年度からは大幅増額。

 具体的な額は、
 本予算で約106億円+補正予算で23億8千万円=合計約129億8千万円

 この額が、文化財の修理に充てられます。
 3年前(2014年度)と比べると1.6倍です。

 先ほど書いたように、試算では200億円必要ということなので、まだまだ足りませんが、それでも大きな進歩です。
 ご本人も、「いままで少ない予算でやってきただけに、嬉しい限りです」と喜んでおられます。


 もうひとつ嬉しい話があります。

 これまで文化財行政には「見た目を気にする」という概念がなかったのですが、昨年(2016年)からは美装化予算として2億円が充てられているそうです。

 これは非常に画期的なことだそうです。

 なぜかというと、これまでは、柱が歪むとか雨漏りするとか、建物に致命的な問題がない限り、国は補助金を伴う修理をしない暗黙のルールがありました。

 だから、漆や彩色が取れてしまって非常に見苦しい状態の場合も、あるいは建物の一部分だけの修理についても、修理することができなかったんだそうです。

 美装化予算がもたらした効果について、アトキンソンさんはこんな実例を紹介されています。

 昨年、日光東照宮の「眠り猫」の額部分の彩色が取れてしまったので、修理が行われました。
 画像は、修理を終えて公開された「眠り猫」。

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 「見ざる言わざる聞かざる」でおなじみの「三猿」も同様です。
 欄間(らんま)彫刻に彩色したものですが、色褪せがひどかったので、現在修理をしているそうです。

 これらは、以前であれば、すぐに修理することはできなかったものです。
 どんなに観光客が多くても、建物には影響はないと見なされ、補助金が出なかったからです。

 美装化予算がついたおかげで、このように今まで見過ごされてきた建物の一部分の修理ができるようになったのです!\(^o^)/

★参考リンク
「眠り猫」「三猿」の重点的修理のお知らせ(日光東照宮サイト 2016年06月15日)
東照宮の「眠り猫」修復終え公開 60年ぶりのお色直し(共同通信 2016/11/28 18:48)

 
 ですが、文化財行政にはまだまだ問題が山積みなんだそうです。

 入札方式もそのひとつ。

 文化財修理は、基本的に一般競争入札か指名入札ですが、最低制限価格がないことが多いそうです。
 極論を言えば、1円で入札しても問題はないということです。

 入札した会社が実際に大きな規模の修理を行えるか、債務超過していないかなどの査定もありません。
 実績や職人の有無さえ確認しません。

 先日、ある彩色工事を、彩色の実績もなければ、職人もいない漆専門会社が安く落札したそうです。

 アトキンソンさんがその会社の人に尋ねると、「お金に困っており外注はしない」「自分たちで頑張って何とかする」という趣旨の返答が…。

 これではクオリティーを保つことはできませんよね(T_T)

 アトキンソンさんは、現在の入札方式を、次のいずれかに変更すべきだと提案されています。

★総合評価落札
 価格以外の、技術など他の要素を含めた項目を評価して落札者を決定する方式
★規格競争入札
 複数の業者から企画提案や技術提案を提出させて審査し、契約する方式
★随意契約
 競争入札によらずに、任意で決定した相手と契約を締結する方式


 なぜ現在のような入札方式がまかり通っているのでしょうか?

 原因のひとつは、現在の文化財行政では文科省、都道府県、市区町村では教育委員会の中に組み込まれていることにあると、アトキンソンさんは言います。

 文化庁や教育委員会の持っている入札方式のノウハウだけでは、明らかに不十分で、詳しいノウハウは、公共工事を行う国交省が持っているそうです(市町村では建築部など?)。

 ただ、国交省の人間は教育委員会の落札に関わるなどという余計な仕事はしたくないし、責任も負いたがりません。

 教育委員会の人間も、文化財を「修学旅行で学生に見学させるもの」といったレベルでしか考えないのだそうです。

 だから、この非常識な入札制度は一向に改善されないのだと。

 文化財は観光の要だから、日本が本気で観光立国を目指すのであれば、観光庁や文化庁がバラバラに動くのではなく、一元化された「文化スポーツ観光庁」を作るべきだ!

 ……というのが、アトキンソンさんの主張です。


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 ところで…、
2015/2/9付:中国産漆に駆逐される国産漆!国宝守る英国人社長の闘いと日本人への提言
 の後半に紹介した中国産漆の問題は、その後どうなったのでしょうか?

 アトキンソンさんの今回のご報告の中に、この件はありませんでしたが、気になったので自分なりに調べてみました。

 そしたら、上記記事をUPしてから約半月後の2015年2月24日、下村文科大臣(当時)が記者会見で次のような発言をしているのを見つけました。

【それから2点目でありますが、文化財建造物修理における国産漆の使用拡大についてであります。
 今日、文化庁から、国宝・重要文化財建造物の保存修理における漆の使用方針について、国産漆を原則として使う旨、通知を発出することといたしました。
 近年、国内の漆需要の減少に伴って、国産漆の生産量が減少しております。このため確保が難しくなったり、コストが高くなったことによりまして、中国産漆との混合使用が行われておりますが、文化財建造物の修理は、本来の資材・工法で修理することが文化を継承する上で重要であります。
 漆の英名は「japan」、「japan」が漆ということになりますし、また、「漆」という漢字も実際は漢字ではなくて和語、もともとの漢字は「さんずい」が付いていなかったと言われていまして、「さんずい」を入れて「漆」という字が漢字となったわけでありまして、まさに日本の言葉でもあります。
 こういうふうに、我が国の文化そのものの象徴でもある資材でありますので、今回、原則国産使用の方針を象徴的に打ち出すことにいたしました。
 現在の需給状況に鑑みまして、当面、上塗りと中塗りを国産漆とし、平成30年度をめどに、下地を含めた100パーセント国産化を目指す予定であります。


 ええっ、全然知らなかった!(゜◇゜)(漆の英名とかも含めて)
 これって大きなことですよね!

 でも、その後の進捗状況はどうなんでしょう?
 「平成30年度をめどに100%国産化」とありますが、大臣が交代してしまったし、まさかそのままほったらかしにされてるってことは…?
 
 さらに調べてみたけど、よく分かりませんでした…。

 かろうじて見つけたのは、昨年12月11日に放送されたテレ朝(IBC岩手放送制作)の「日本のチカラ」>#73 和のしずく~国産漆の守り手たち~。

 最後の方にこう記述されています!

明治から平成まで、時代の荒波を乗り越えてきた浄法寺の漆掻き。国産漆2%という「風前の灯」だが、彼らが守ってきた「火」を取り巻く風は、少しずつ変わり始めている。文化庁は2015年、都道府県に対して通達を出した。国宝・重要文化財の保存・修理(修復)事業を、2018年から原則100%国産漆で行うというもの。多くの国宝を有する日光東照宮(栃木県日光市)では、国産漆のみを使った「平成大修理」が行われている。大切な国の宝を次世代へとつなぐ天然のタイムマシン塗料として、国産漆への期待が高まっている。

 昨年末の番組の紹介文にこう書かれてあるってことは、大丈夫ですよね?(^_^;
 100%国産化への政府の取り組みは、継続してるんですよね?

 漆の問題とかって、私もそうですが、皆様も普段あまり考える機会はないと思います。

 食べ物や身につける物に関しては「これは国産かしら?」と気にしますが、国宝や重文に使われている漆が国産かどうかなんて、ほとんど気にしませんし…。

 漆に関わる職人さんが減少していることなどにも、あまり考えが及びませんよね。

 でも、こうしたことは日本の伝統文化を守っていく上でとても大事なことですから、私たちも心のどこかに留めておくべきだろうと思います。



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