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スーチーで大丈夫?ミャンマー政権交代

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 11月8日に行われたミャンマーの総選挙で、アウンサン・スーチー党首率いる最大野党NLDが政権を取ることが確実となりました。

 テインセイン大統領の任期が切れる来年3月末以降、新政権が発足する予定です。

 ただ、半世紀以上にわたって軍の影響力の強い政権が続いてきたため、その影響力がすぐになくなるわけではなく、先行きは不透明です。

 スーチー氏ももちろんそこは分かっていて、テインセイン大統領など現指導者らに会談を呼びかけるなど、準備作業を始めていますね。

 でも、私は“スーチー新政権”にあまり期待はしていません。
 

 上記ツイートでリンクを貼った拙ブログ記事、
13/4/22付:日本よ、これがスーチーだ
 へは、ここ1週間ほど、アクセスが急増しています。

 検索エンジンから、「スーチー 正体」などのキーワードで飛んでこられる方が多いようです。

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 皆様すでにご承知でしょうが、ミャンマーの現憲法下では、外国籍の配偶者か子供を持つ人には大統領の資格が認められていないため、スーチー氏は大統領にはなれません。

 しかし、スーチー氏は「私は大統領以上の存在になる」と明言し、自らが政権を率いる強い意欲を示しています。

 実は、彼女はこの発言を選挙前からしていて、BBCなどが伝えていましたが、日本のメディアはその時点ではあまり言及がありませんでした。

 この発言を当初は失言ととらえる向きもあったようですが、彼女は選挙後もメディアのインタビューなどで言っているので、失言でないのは明らかでしょう。

 なので、日本の識者からも心配の声が上がっています。


 ちょっと長めになりますが、ここからはミャンマーの歴史的背景も含めて、有本香さんの解説。


 有本さんもおっしゃるように、日本ではスーチー氏を「善人」扱いしているメディアがほとんどです。

 ノーベル平和賞の効用もあるのかもしれません。
 が、ノーベル平和賞受賞者の中には「?」な人も多いのも事実です。

 日本でスーチー氏を評価する声は、特に左派に多いように見えます。


 安保法制に反対し、安倍政権を批判してきた人たちがよく口にしたのは、こんな言葉でした。

  安保法案の採決は手続きに違法性がある!
  安倍首相は立憲主義と民主主義を破壊している!
  独裁だ!決して許してはならない!


 などと言っていた人たちが、スーチー氏のことは無条件で称賛して「大統領以上の存在になる」発言はスルーするのだとしたら、ダブスタ以外の何物でもないと思うのですが…。

 当選が見込まれるNLDの候補者らは政治の素人ばかりで大統領に適した人がおらず、スーチー氏は「自分が仕切らなければ前に進まない」と考えているのだろう、だからもう少し様子を見たらという声も聞きます(そもそもスーチー氏自身、政治経験が少ないのですが…)。

 が、これまでの彼女の言動を考えると、本当に大丈夫かしら?と。

 たとえば、ロヒンギャやカチン族など、少数民族の問題。

 特にロヒンギャについては全くスルー、それどころかロヒンギャを迫害している仏教徒を擁護するような発言もありました。

スー・チー氏、ロヒンギャ人の支持明言せず 西部の衝突めぐり(AFP 2012年11月05日 17:46)
“変貌”するスー・チー氏 国政の現実の中で薄まる政府批判 大統領も視野?(産経2013.1.31 19:16)
虐殺僧侶を容認しているアウンサンスーチーの正体(カレイドスコープさん 2013.05.30)


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[2011年12月、ミャンマーのスーチー氏宅を訪れたクリントン米国務長官(当時)]

 もうひとつ注目すべきは、政権交代によって、中国寄りから米英寄りになる?という視点。

 イギリスの傀儡だった(というよりイギリス人そのものだった)スーチー氏が、今後はアメリカの傀儡になっていくのでは?という見方も根強いようです。

 実際、今のところ、アメリカの筋書き通りに事が運んでいるようにも見えます。

 その文脈で、「スーチー新政権はアメリカの傀儡になる!」と心配している左派の人たちも、少数ながらいるようです(そして彼らは後段で「アメリカの傀儡=安倍政権と同じだ!」という主張を展開する)。

 日本の外交・安全保障を考えれば、中国寄りよりはアメリカ寄りになってもらった方がいいのかもしれません。

 但し、このロシアの通信社の記事など見る限り、“ミャンマーの主たる投資国”である中国は、まだまだ余裕があるようです。

 中国といえば、今年6月にスーチー氏が訪中しましたよね。

 この時、中国の民主活動家や人権派の間で、スーチー氏が中国の人権問題に言及するのではないかという期待が高まりましたが、彼女は全く触れることはありませんでした。

 こうしたことも、中国に余裕を与えているのかもしれません。

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 一方、わが日本は“スーチー新政権”に対してどんな戦略を準備しているのでしょうか?

 父親のアウンサン将軍が旧日本軍から独立支援を受けていたことや、1985年から1年間京都大学で研究員として過ごしたことを絡めて、スーチー氏を親日家であるかのように伝えるメディアもありますが、はっきり言って、彼女は日本に不信感を持っています。

 スーチー氏に言わせれば、それは、日本が1980年代までミャンマーの最大援助国で、88年の軍事クーデター後もいち早く経済援助を再開したことにあります。

 日本としては、ミャンマーを国際社会で孤立させないよう、関係を保ちながら民主化を働きかけてきたのですが、スーチー氏はそんな日本を人権軽視だと非難しました。

 人道援助(ポリオ生ワクチン援助)ですら、スーチー氏は「軍事政権を利するだけだ」と非難したので、日本政府は遠慮がちに援助をしていたそうです。

 「軍事政権を利するだけだ」というスーチー氏の言葉が本当なのかを確かめるため、西村眞悟さんが議員時代、実際にミャンマーの田舎のポリオ生ワクチン接種現場を見に行ったことがあります。

 西村眞悟の時事通信 平成20年7月18日によれば、

【そこでは、多くの若いお母さんが村の学校に子供を抱えて集まっていた。
 楽隊が演奏して踊りも始まった。
 まるでお祭りのようであった。
 そして、お母さん達は幸せそうにニコニコ笑っていた。
 私には、この多くの子供達が日本の援助により小児麻痺の恐怖から解放されることが、何故「軍事政権を利するだけだ」と非難するのか、スーチーの言うことが馬鹿らしかった。
 そして、日本のマスコミは、何故スーチーの言うことだけを報道して、このようなすばらしい援助の場所を取材しないのかと思った


 眞悟さんが最初にミャンマーに入ったのはそれより前、平成6年(1994年)5月ですが、当時すでにこのような感想を持ったそうです。

【アウン・サン・スーチーの言っていることは、英国流・米国流の民主主義を直ちに実現させない政権はすべて悪だと言うに等しくミャンマーの現実を無視していた。事実、彼女は英国で育ち、英国人の夫と子供の家族とともに長年英国に住んでいてミャンマーを知らなかった】

 眞悟さんのような保守だけではなく、左派の中にも厳しい見方をしている人もいます。

 先ほどリンクを貼った、
虐殺僧侶を容認しているアウンサンスーチーの正体(カレイドスコープさん 2013.05.30)
 は、こう指摘しています。

「ミャンマーは、西側が一から十までお膳立てした“偽装の民主化”を進めている」

 スーチー氏はもはや民主活動家ではなくて政治家です。
 政治は“現実”ですから、これからも私たちが首を傾げる言動がどんどん出てくることでしょう。

 もちろんそれが一概に悪いとは言いません。
 ただ、日本では未だにスーチー氏に幻想を持っている人が多いようです。

 テレビの情報番組など見ていても、コメンテーターが「スーチーさんはリーダーシップあふれる素晴らしい指導者」とか、「同じ女性として憧れます」とか、そんなレベルの話をしています。

 今後、NLDが政権を取り、彼女が運営に直接関与するのは確実なんですから、この際イデオロギーに関係なく、日本人全体がスーチー氏という人を見つめ直す必要があるでしょう。

 私も軍事政権(およびその流れを汲む現在の政権)が良いとは思っていません。
 ただ、政権交代後、かえってミャンマーが混乱に見舞われたりしないか?と心配なんです。

 よけいなお世話と言われるかもしれませんが…。


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※拙ブログ関連エントリー
13/4/22付:日本よ、これがスーチーだ


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