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「約束の日-安倍晋三試論」安倍政権のあの叩かれ方は何だったのか?

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約束の日 安倍晋三試論 小川 榮太郎(著)

 帯の推薦文は三宅久之さん。

 「もっとも勇敢に官僚の壁と戦い、戦後の利権構造を打破しようとした安倍晋三が、なぜ一年で政権を投げ出さざるを得なかったか?安倍の再起を願う筆者の痛憤渾身のドキュメントである」。

 ぐいぐい引き込まれる内容で、遅読の私が数時間で一気に読み終えました。

 何しろ、序文からしてこうですから。
「安倍の葬式はうちで出す」

 安倍内閣当時の、ある朝日新聞幹部の発言だ。
 勿論、表に出る発言ではない。

 〈中略〉この「大新聞」の安倍への憎悪は、本物だった。
 それを裏付ける例として、私は先頃引退した評論家の三宅久之から、次のような話を聞いたことがある。

   朝日新聞の論説主幹の若宮啓文(よしぶみ)と会った時にね、
   「朝日は安倍というといたずらに叩くけど、いいところはきちんと
   認めるような報道はできないものなのか?」と聞いたら、
   若宮は言下に「できません」と言うんですよ。
   で、「何故だ?」と聞いたら「社是だからです」と。
   安倍叩きはうちの社是だと言うんだからねえ。
   社是って言われちゃあ……。

(p.3-4)】


 安倍内閣の首相補佐官だった世耕弘成さんが、最近、大学生らとのタウンミーティングで、こう話していたことも紹介されています。

【「今でもよく思うんだよね。
 安倍内閣とは一体何だったのだろうって。
 あの叩かれ方は何だったのだろう。
 今の民主党政権へのマスコミのおざなりな批判を見ていると、本当に何だったのだろう、と」

(p.18)】


 安倍政権のあの叩かれ方は何だったのか?
 その疑問は、この本を読めば氷解します。

 「戦後レジーム」からの脱却を目指した第90代内閣総理大臣・安倍晋三。
 彼が主に取り組んだのは、公務員制度改革、教育改革、憲法改正への道筋づくりでした。
 
 が、それらは「戦後レジーム」を維持したい勢力……すなわち官僚、日教組、朝日新聞など反日メディアとの、「全面戦争」を意味していました。

 安倍さんにとっては、文字どおり命懸けの戦いだったのです。

 「戦後レジーム」勢力が、安倍政権にどのような卑劣な攻撃を仕掛けたか。
 安倍さんはどうしてそれに屈することになってしまったのか。

 安倍政権の戦いの軌跡がこの1冊にまとめられています。
 メディア論に関心がある方にもお勧めです。

 著者の小川榮太郎さんは文藝や音楽評論を専門としている人であり、政治の専門家ではありません。

 安倍さんとの面識を得たのもごく最近で、昨年(2011年)10月だそうです。

 小川さんは安倍さんと会った時の印象を、物静かな微笑、くつろいだ中にも、自ずから感じられる気品と威厳の高さが印象的で、さりげなく挟まれるユーモアが、その場を不思議な明るさで包み込んだと記しています。

 さらに、政治家に限らず、今の日本でこれほど精神的な気品を感じさせる人物に会うことは、まれであるとも述べています。

 小川さんが政治の素人であること、安倍さんに近すぎないこと、これらが逆に安倍晋三という一人の人間を、そして安倍政権とそれを取り巻いていた当時の様々な動きを、客観的に見ることができたのではないかという印象を、私は受けました。

 そう言えば、安倍さんの人となりに関して、9月16日放送「たかじんのそこまで言って委員会」(安倍さんはこの番組に過去数回出演しています)で、こんなやりとりがありました。

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桂ざこば
「(安倍さんは)空気がええねん。それは好き嫌いやなく、ええ空気してはんねん」

津川雅彦
「分かる、分かる」

山口もえ
「分かります。何かすごい不思議なんですけど、安倍さんは、二酸化炭素吐いてなさそうです(会場笑)」

勝谷誠彦
「だからそれが、育ちと教養っていうものなんですね」

 もちろん安倍さんは気品や空気や教養、それだけの人ではありません。
 金美齢さんのコメントがそれを証明しています。

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金美齢
「安倍さんのね、人間性っていうものを私はとても、重く見てるのはね、あの人はね、絶対威張らない人なの。そしてね、絶対裏切らない人なの。そしてね、戦う勇気を持ってる人なの。
 日本がもう中国一辺倒でね、中国のね、やっぱり怒りを買うのが怖くて怖くて、あの小泉純一郎でさえよ、首相の時代にね、私がね、李登輝さんのビザを出すように直訴しようと思ったの。で、会いたいと言った時、(小泉さんは)NOって言ったんですよ。NOって言ったの。だから私に会う勇気がなかったの。つまり私は台湾出身で当時、総統府国際顧問だったしね、私に会うということは、中国を刺激するっていうことだったの。
 唯一安倍さんがね、総理になった時にね、総理官邸に、公邸にね、何人かの人を呼んだ時に、私も呼んだわけ。で、私を総理官邸に入れるってことはみんなやっぱりびびることだし、外務省は絶対に反対だし、周りも全部反対だけど、僕は気にしないとおっしゃった。
 だからね、ずーっと長年見ててね、もう一度総理大臣になってほしいっていうのは、安倍さん以外にありません」

 ちなみにこの日の「委員会」では、「第1回国民的新総理コンテスト」と銘打ち、パネラー・司会の辛坊治郎さん・最高顧問の三宅久之さん計10名による投票が行われたのですが、安倍さんが堂々の第1位でした。

 (安倍さんの他にエントリーされていたのは小泉進次郎さん・石原慎太郎さん・橋下徹さん・小沢一郎さん・細野豪志さん・石破茂さんの面々でした)

 金さんが言った「戦う勇気を持っている人」というのは、小川さんもまさにこの本の中で述べています。

 むしろもっと激しい表現で、血みどろの戦いにいささかもひるまず、信じがたい突破力で猪突猛進した「戦うリーダー」であると。

 あの小泉純一郎元首相や橋下徹大阪市長ですら、小川さんから見れば、「自己の限界を超える強烈な戦いを挑んだ政治家ではない。血みどろになってでも成果を勝ち取ろうとした政治家ではない。彼らは政治家としてあまりにスマートだ」という評価です。

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【2006年(平成18年)9月29日、国会で所信表明演説を行う安倍晋三首相】

 小川さんは、安倍首相の所信表明(第165回国会・平成18年9月29日)の「本当の歴史的意義」を解説しています。

 例えば、官邸機能の強化の表明については、「霞ヶ関全体との戦いが予想されるため、必要と知りながら、歴代首相中、挑戦した者は一人もいない」。

 また、教育再生については、「戦後教育の中で金科玉条とされてきた『個性』や『自由』ではなく、『志』を教育の目的として打ち出した。更に、教育基本法改正は、歴代首相が日教組やマスコミを恐れて半世紀以上も放置してきた大宿題である」。

 従来、歴代首相の所信表明は、各省庁から上がってきた政策課題を総花的に羅列することをベースに、原則一項目だけを、その内閣の目玉として首相自らのメッセージにしてきました。

 それを、自らの理念から押し広めて統一的・包括的な政権構想を語ったのは、実は安倍さんが初めてだったそうです。

 安倍さんは所信表明で自らの国家像をこう述べました。

 1つ目は、文化、伝統、自然、歴史を大切にする国であります。
 2つ目は、自由な社会を基本とし、規律を知る、凛とした国であります。
 3つ目は、未来へ向かって成長するエネルギーを持ち続ける国であります。
 4つ目は、世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのある国であります。


 実は、首相が所信表明で自らの国家像を明確に語ること自体、最大の「戦後レジームからの脱却」であったと、小川さんは言うのです。

 その理由は、こうです。

戦後の日本では、自国そのものがタブー視されてきた。

 『アメリカ』対『大日本帝国』の戦いだった大東亜戦争が、GHQによって、『軍部』対『軍部に騙されて戦争に駆りだされた国民』という構図にすりかえられ、各種の洗脳工作を仕掛けられて以来、戦後日本人の頭には、日本人にとって最大の敵は自国の政府だという面倒な図式が、強く刷り込まれ、今日に至っている。

 人権については無限に語られてきたが、国家について肯定的に論じるだけで、市民の敵、民主主義の敵、極右、軍国主義者だとレッテルを貼られる極端な風潮が、日本を支配し続けた。

 国家のリーダーである首相が国家像を語るという、当然のことさえ、ウルトラ右翼視される。
 そうした状況下、戦後歴代首相の誰一人として、所信表明で、国家像を提出した首相はいなかったのだ。

(p.47-48)】

 
 そんな安倍さんを、「戦後レジーム」勢力の代表格である朝日新聞が見逃すわけもなかったのです。

 朝日新聞の安倍政権に関する偏向報道は数え切れないほどありましたし、明らかなウソ報道もありました。

 それらを小川さんは実例を挙げたり、あるいは数字で示しながら、検証しています。

 例えば、教育基本法改正について、各紙世論調査では総じて高い国民的支持を得ていました。
 焦点の一つとなった「愛国心規定」についてもそうで、朝日新聞の調査ですら「賛成」が56%を占めていたのです。

 にも関わらず、朝日新聞は我田引水の報道を続けました。
 教育基本法改正反対運動の記事は70件も掲載する一方で、賛成派の動きを伝えた記事はたったの3件でした。

 しかし、朝日や日教組の「努力」もむなしく、教育基本法改正法は成立します。

 ここで成果を上げられなかった反安倍勢力は、その後、政策を叩くのではなく、スキャンダル叩きに方向を転じることになりました。

 小さな不祥事を大事件のように拡散するメディア、キャリア官僚によるリーク、日教組を始めとする組織力を結集しての安倍潰しです。

 すさまじいバッシングに晒される中、それでも安倍さんは戦い続けました。

 その具体的な中身については、ぜひ本書をお買い求めの上、お読みになって下さい。

 当時は全く表に出てこなかったことも、関係者の証言などによって明らかにされています。

 一つだけ挙げると、実は安倍さんは、首相を辞任した2007年の靖国神社の秋の例大祭(10月)に首相として参拝することをすでに決めており、官邸は靖国神社側と首相参拝の手順に関して、折衝を重ねていたそうです(辞任は9月12日)。

 「あくまで結果論だが」と前置きしながら、靖国神社参拝を果たせなかったことは重大な過誤であったと、小川さんは指摘しています。

 首相として靖国神社参拝を果たせなかったことについては、ガッカリした保守派の方も多かったと思います。河野談話の見直しがされなかったこともそうですね。

 しかし、皆様ご存知のとおり、安倍さんはこのたびの自民党総裁選の公開討論会などを通じて、「首相在任中に参拝できなかったのは痛恨の極みだ」と靖国参拝に強い意向を示していますし、河野談話についても、アメリカで慰安婦の記念碑が建てられて、河野談話がその根拠とされていることを指摘し、新たな談話の必要性を強調しています。

 (ちなみに河野談話については、2007年に安倍内閣として「政府が発見した資料の中にはいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった」とする答弁書を閣議決定していますが、意外と知られていないようです)

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 巷では未だに安倍さんの健康不安説が取り沙汰されているようですが、安倍さんを襲った難病・潰瘍性大腸炎が、その後、画期的な新薬が日本で承認されたことによってめざましく改善されたことは、拙ブログの読者様であればご承知でしょう。

 日本は今、内外に多くの課題を抱えています。

 特に、尖閣諸島や竹島の問題、また小泉訪朝から10年を迎え停滞する拉致問題に代表されるように、主権・外交・安全保障は待ったなしの状況です。

 この国難に立ち向かえるのは安倍さんしかいないと、私は確信しています。

 しかしながら、もし本当に安倍さんが再び日本のトップに立つ日が来たとして、私たちは「今までどおりの私たち」で良いのでしょうか?

 答えは「否」です。

 小川さんは最後の章で、こう述べています。
 私がこの本で最も心を震わせた箇所です。

【もし、安倍が、自分の語りかけた未完の物語を本当に語り直す決意をした時、もう一度、あの命懸けの激しい政治闘争の「濁流」に飛び込む覚悟を決めた時、心ある日本人の誰が傍観していられるだろう。

 各々、自分の何か大切なものを差し出しもせずに、安倍に向かって、あの激烈な戦いを再び戦えなどと注文することができようか。

〈中略〉次の安倍政権は、安倍の戦いではなく、心ある全日本人の戦いでなければならぬ。

 各々が、安倍の戦いの障害をそれぞれの立場で取り除き、前回、安倍とそのチームだけでは完遂できなかった「戦後レジームからの脱却」を実現せねばならぬ。

(p.209-210)】


 自民党総裁選は今のところ安倍さんには不利な状況のようですが、どうか国会議員や党員の方々が日本の真の国益と真摯に向き合い、賢明な選択をされることを祈っています。

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※安倍さん関連の動画紹介
ももっくまの1分でわかる政治の話 ~安倍晋三 イントロ編~
ももっくまの1分でわかる政治の話 ~安倍晋三 教育編~
ももっくまの1分でわかる政治の話 ~安倍晋三 防衛省編~
ももっくまの1分でわかる政治の話 ~安倍晋三 外交編~

※拙ブログ関連エントリー(民主・自民代表選)
12/9/8付:民主・自民の代表選や大阪維新国政進出など最近の政局について
12/9/13付:「アンカー」W党首選へ!細野不出馬の真相は?新政権(実質、自民党新総裁)に求めていくことは?

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06/9/10付:朝日新聞、安倍批判から自民党批判にシフト?
06/9/27付:朝日の「アジア外交が心配」は少なくとも来夏まで続くわけで(笑)
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06/10/14付:朝日新聞の捏造・放火の歴史
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12/5/4付:「反日」のはずもない?ご冗談でしょう朝日さん!


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